正義・自由・秩序の確立をすすめた歴史的な日を祝して
12月6日は、民主化運動によっての憲法が制定されたことを記念する祝日です。『スペインの国家は、正義・自由・秩序を確立することを望み、これに協力するすべての人民の保護を約束する』としたこの憲法は民主化を実現するための重要な礎となりました。
『すべてのスペイン人、およびすべてのスペインの住民の人権・言語・民族文化に自由を与える』とスペイン憲法で謳われているとおり、地域ごとに特徴のある歴史や文化、習慣が今も大切に受け継がれ、スペインの魅力となる豊かな地域性を育んでいます。
スペインと言えばオリーブオイル! 地方色溢れる伝統料理も
地域による調理法の違いを表した『北では煮込み、中部では焼き物、南部ではフライ』という言葉もあるほどです。それぞれ特色は違っても、共通するのはたっぷりのスペイン産オリーブオイルとにんにくを使うこと。
世界一の生産量を誇るオリーブオイルは焼く、炒める、揚げるなどの調理に使われるだけでなく、テーブル上に置いてサラダや焼き魚にかけたりと、味わいにコクを加える調味料の役割も果たしています。味つけはごくシンプルで、素材の味をいかしながら、料理のおいしさを引きだすのがスペイン料理の最大の魅力。
そんな地方色豊かなスペインの伝統料理の中から代表的なものをご紹介しましょう。
アンダルシア地方(スペイン南部)
オリーブオイルの産地として知られるアンダルシア地方では、地中海で獲れた魚やいかを使った揚げ物がよく食べられています。冷製トマトスープの「ガスパチョ」、最高級の生ハムとされる「ハモン・イベリコ」「ハモン・セラーノ」もこの地方の名物。かつてイスラム教徒の支配下にあったことから、その影響を受けた料理が多いのも特徴です。
ガリシア地方(スペイン北西部)
大西洋に面したガリシア地方は海の幸の宝庫。帆立貝や牡蠣、マテ貝などの新鮮な魚介類を使ったダイナミックな料理が特徴です。茹でたたこにオリーブオイルとパプリカパウダーをかけた「ポルボ・ア・フェイラ」という料理が有名で、この料理を他の地域では「たこのガリシア風」と呼んでいます。
バスク地方(スペイン北東部)
フランスとの国境に接しているバスク地方は、フランス料理の影響を受けながら独自の食文化が発展しました。美食の街として名高いこの地方では、干した鱈をたっぷりのオリーブオイルでとろとろになるまで煮た「バカラオ・アル・ピルピル」や「あさりのワイン蒸し」などが有名。日本で人気の「ピンチョス」もこの地方で生まれたものです。
カスティーリャ地方(スペイン中央部)
首都マドリッドやトレド、ラ・マンチャを有するカスティーリャ地方は、乾いた大地が広がる地域。牧畜が主産業です。肉を豆や野菜と煮込んだ「コシード」、仔豚や仔羊などの肉を使ったロースト料理「アサード」が名物料理で、なかでも仔豚の丸焼きが有名。キジやウズラなどの野鳥類、鹿、猪などのジビエもよく使われます。
カタルーニャ地方(スペイン東部)
地中海沿岸に広がるカタルーニャ地方は、地中海の魚介類と内陸部の野菜・果実など豊富な食材に恵まれた地域。スペインが誇る米どころでもあり、この地方が生んだ伝統的な米料理「パエリア」は世界で最も知られているスペイン料理です。干した鱈のマリネをベースにしたサラダ「エスケシャーダ」も年間を通してよく食べられています。
まとめ
今回のコラムはいかがでしたか? スペインの魅力である豊かな地域性と、世界を魅了する伝統料理の数々。そこには、憲法にも謳われる『人権・言語・民族文化の自由』が関係しているのかもしれません。オリーブオイルを使った絶品のスペイン料理に舌鼓を打つ時、あなたもそんなことに想いを馳せてみませんか。
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